
素直に自分の失敗を「謝る」事ができない内藤さんに対して、周囲の視線もかなり冷たい。
失敗は誰にでもあるものだが、相手に「謝罪・お詫び」をしてこそ「反省しているんだな」という気持ちにもなる。
その
謝罪も反省もなければ同じ職場の中で「信頼関係」築いていくのは難しくなる。
内藤さんがらみのトラブルは日常茶飯事。
こんな事もあった。
3月の月末、世間は年度末の決算で大忙し。
僕の課でも3月31日の締めに向かって少しでも実績を積み上げようと、みんなで最後の追い込みをかけていた。
今年は3月31日が月曜日で、ギリギリまで役所関係も開いている。
自動車ディーラーにとっての実績は、新車を販売しただけではカウントされない。
陸運事務所に行ってお客様の名義に新車を登録(いわゆるナンバーを発行してもらう)事で初めて実績としてカウントされる。
今年は3月31日の最終日まで登録ができるので、課のみんなで目標に向けてがんばっていました。
そんな月末の28日(金)、目標まで後1台という時に課の近藤くんが1台販売してくれた。
夕方会社に戻った近藤くんを課のみんなでねぎらい、「目標達成」が手に届くところに来た事をみんなで喜びました。
近藤くんは金曜日中に登録に必要な書類を全てそろえてくれていました。
あとは月曜日(31日)、陸運事務所が開いたらお客様の名義に登録すれば「目標達成」です!
「内藤さん。この書類明日(土曜日)登録業務にまわしておいてね。」
「わかりました。」
「月末で登録業務も忙しくてごった返しているだろうから、午前中には必ず届けておいてね。」
「午前中ですね。わかりました。」
そして次の土曜日の朝、
「内藤さん、昨日の書類忘れないで届けてね。」
「はい。分かっています。後で届けておきます。」
さすがに年度末の決算にも影響する実績だから、それくらいの緊張感はあるだろう。
でも、忘れっぽい内藤さんのことだからアテにはできない。
そこで11過ぎにもう一度声をかけた。
「内藤さん、近藤さんの書類まわしてくれた?」
「あ〜はい。隣の課の菊池さんが登録業務に行くというので、他の書類と一緒に持って行ってもらいました。」
「菊池さんが行ってくれたの?」
「はい。」
「他の書類って?」
「3月中に抹消登録(廃車)する分です。お客様に自動車税が課税になったら困るじゃないですか。」
自動車税は4月1日時点の名義人のところへ課税される。
3月中に新車を購入されたお客さまの下取りに頂いた車の名義はできるだけ3月中に当社へ名義変更、または抹消登録する。
でなければお客さまのところへ新車分と下取り分の2台分の自動車税が課税される事になってしまうからだ。
それはともかく、近藤さんが販売してくれた最後の1台で目標は達成されたわけです!
課では「目標達成」した達成感、充足感でみんないい雰囲気でした。
あしたは日曜日。
久しぶりに充実した気分で休日を過ごせそうです。
ところが、週があけて31日の月曜日の夕方、事件が起こりました。
外出していた僕の携帯電話に近藤さんから電話が入りました。
「あの〜・・・最後に販売したお客様の登録ですが・・・」
「え?何?どうしたの?」
近藤さんの声から察するに悪い知らせだとピンときました。
近藤さんの青い顔が目に浮かぶようでした。
「内藤さんが書類回してなくて、登録できていません・・・」
「え!何で!?だって内藤さん書類回したはずだよ!?」
「いえ、それが、他の書類の間にはさまっていたとかで、まだココにあります・・・」
時間はもう午後六時。
陸運事務所も閉まっている時間だ。
これからじゃどうしようもない・・・
僕は大急ぎで会社に戻った。
課ではものすごい脱力感、虚脱感に包まれていました。
「内藤さん・・・どういう事?」
「いえね、色々書類が多くって〜その中にまぎれちゃってたんですよ〜」
「まぎれちゃってたんですよ〜って・・・だって確認したでしょ?書類届けてくれたって?
そしたら隣の課の菊池さんに頼んだって言ったでしょ?」
「ええ。頼みましたよ?でもその書類だけ渡しそびれてたみたいなんですよ〜」
「・・・・・・・・・・」
なんだ?このオバサン。
まるで反省してない。
話をしているだけで頭が痛くなる。
自分が「渡しそびれた書類」が会社にとって、課の皆にとってどれだけ大事なものだったのか分かっていないのか?
課のみんなも散々内藤さんを問い詰めた後らしく、
「ダメだこのオバサン・・・話にならない・・・」みたいな空気が漂っている。
当の内藤さんも、
「あたし一人が悪いのかよっ!」みたいな顔している。
内藤さんの口からは、何を言っても「言い訳」しか出てこない。
その上「ごめんなさい」の一言もない。
課のみんなも呆れて内藤さんの事を「相手にできない」という感じだ。
完全に内藤さんは浮いた状態になったが、かばう気には全然なれなかった。
ここで内藤さんがみんなに「謝罪・お詫び」をして、「反省」していればどうだろう?
今の状況とは違う人間関係を築けるはずだ。
それができない内藤さんはとても損をしているのだが、それだけじゃない。
内藤さんが「謝罪・お詫び」ができないおかげで回りのみんなも損をしている。
「気持ちよく仕事ができない」、「仕事仲間を信頼できない」というのがどれだけ「損」な事か。
失敗は誰にでもあるけれど、「謝罪・お詫び」「反省」ができないとその後が大きく変わってくる。
仕事以前の問題だとは思うけど、「人間関係」を潤滑にするためには「謝罪・お詫び」は必要最低限のスキルだと思います。
Author:JobJoy
静岡在住、自動車ディーラーに勤める30代のサラリーマンです。
人生の大半を占める「仕事」について色々考えるようになった今日この頃。
どうすればもっと充実した毎日を送れるのでしょうか?
日々勉強中・・・
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